世界はハッピーエンドで
終わると思っていた。
どんな苦しい事、悲しい事が
あっても、最後には
幸せが待っていると思っていた。
その為の努力はしてきた。
こんなはずでは無かった。
やっと掴んだ幸せだったのに。
こんな所で終わりを迎えたくない!
誰か開けて!
誰か開けて!
あの女!
≫表には出なかった裏の話を読む
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関東地方では
悲しみの雨が降るでしょう
天気予報が
明日の天気を告げている
「最近、雨が多いね」
「別れの季節だしな
涙雨明け宣言はまだじゃないかな」
「政策でどうにかならないの?
別れるの禁止とか」
「無茶だろ。それに
涙の雨の後の虹は好きだろ?」
「はぁ 世界に希望や夢や愛だけが
存在していればいいのに」
「そんな、ため息ばかりついてると
スモッグ注意報まででるぞ」
世界に人という存在が誕生してから
大気の成分に変化がおきた。
人は
悲しみを
喜びを
憎しみを
夢を
愛を
大気中に吐き出し続けたのだ
想いは時間をかけ
結晶化していった
天気予報が終わり
歌が流れる
人が人である限り喜びは無限にある
人が人である限り悲しみは無限にある
人は考える事をやめない
人は動くことをやめない
だから世界は喜びで満ち溢れている
だから世界は悲しみで満ち溢れている
心が心である限り喜びは必ず訪れる
心が心である限り悲しみは必ず訪れる
心は思うことをやめない
心は想うことをやめない
だから世界は夢で満ち溢れている
だから世界は愛で満ち溢れている
だから世界はこんなにも色付いている
死ねばいいのに
「想う」は
自分に投げかける言葉
一人
傷ついてゆく
闇に溶け込みたい
帆のない舟に横たわり
緩やかな流れに身を任せ
目をつぶる
ゆるやかな揺れは
赤子をいつくしむ
心地よいゆりかごの揺れ
おだやかな闇に抱かれて
まどろむ時間は
原始の流れ
流れに身を任せて何を想う
流れに身を委ねて君を想う
この流れは原始の流れ
君を想うは太古の記憶
小さな教室の中の
小さな机の上
白いノートの中の
小さな世界
文字と数字の間で
彼は
デッサン力なんてなかったし
人を書けばアンバランス
目ばっかり練習しては
顔からはみ出した。
だから彼は
空想の生き物を作り出した
彼は絵を上手く書くことではなく
その生き物達を産み出す事を
楽しんだのだ。
適当に線を引いて
目的無く動かした鉛筆が
偶然、形になるように
そんあ風に絵を描いたので
同じモノは書けなかったし
書く必要も無かった。
ボクノセカイの小さな生き物達
きっと今もどこかに
水面に波紋
彼の落とした涙
各地で女神像が涙する
神は人を助ける事はせず
ただ涙する
それは鎮魂歌
彼らは
許す事で
涙する事で
魂を清めるのだろうか
争いを続ける人々に対して
あまりに多くの
傷ついてゆく人々に対して
ただ静かに涙をおとす
彼は携帯の画面を
ぼーっと見ていた
画面の中で時が過ぎてゆく
彼は携帯を軽く放り投げた
ベッドに沈み込む銀の機種体
クッションの上に座り込み
本棚に手を伸ばす
雑誌に手にとり2、3ページ
そして床に置く
立ち上がり携帯を拾い上げる
変わらぬ画面
返信は無い
アドレス帳から
名前が一つ消された
窓に寄りかかる
空は赤い
窓から見える大通り
かつては
人で溢れかえっていたその場所
寂寥だけが
風に乗って過ぎ去ってゆく
彼はもう一度携帯を取り出す
開かれたアドレス帳
残されたアドレスはあと一つ
きっと彼からも返信はない
携帯は以後使われないだろう
この人の居なくなった世界で
それでも彼らは
電波が届かない場所で
元気にしていると
淡い期待
そんな希望を抱きながら
最後の一人に
メールが送られることは無かった
閉じられた携帯
俺は自分の意思で自らの全てを
消したわけでは無かった。
それでも俺の命は消えた。
悲鳴をあげる事も無く俺は死んだ。
彼は死んだ。
たった6文字で俺は殺された。
涙を誘う為に、
或は物語を盛り上げる為に。
余りに理不尽な死
余りに簡単な死
俺はリセットボタンに
手を伸ばした
俺のいない世界なんて
消えてしまえばいい
突然だけど
俺は不治の病にかかっている。
原因不明の病気
原因不明=治療法が無い
命に関わる問題ではないと
医者は言う
俺はこの病気と
共生して生きていかなければいけない
でも
ふと思う
この病気にかかっていなかったら
違う人生を歩んでいただろうか
この病気の特効薬があれば
世界が違く見えただろうか
原因が解明すれば
治療法が確立する
どうか
こんなにも胸が苦しい原因を
誰か教えてくれないか?
この病は不治の病
薬でも治せない
ねぇ 笑ってよ
4月1日のこの日に
嘘でもいいから笑ってよ
君はずっと僕を見ているのに
僕に笑いかけてくれる事はしない
ねぇ
作り物でいいから
僕に笑ってよ
嘘でもいいから君の声が欲しい
明日、泡になって消えてしまうとしても
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